企業法務まわりの仕事(まとめ)
「企業法務といっても、イメージしている業務は会社によってまったく違う」というコメントから本連載は始まりました。
そして、企業法務にまつわる業務について経営法友会が発表している「会社法務部 第 12 次 実態調査の分析報告(以下、第 12 次報告といいます)」を引用して述べてまいりました。ちなみに、第12次報告では130種類の事務(業務)が取り上げられています。
さらには、主な業務について当事務所の代表者である私自身の経験の有無等を説明いたしました。
また、連載第6回以降は第12次報告の内容に加えて、法務部門の運営経験、さらに、法務部門にも求められがちな不正調査・対策に関連する業務についても解説してまいりました。
今回は、それらを総合して全体像をもう一度おさらいしたと思います。
これまでの連載と重複する部分もありますが、ご容赦ください。
法務部のお仕事のサポート。まずは「土台」
法務部のお仕事には、大別して次の2つがあると考えています。
一つは、部門を形成し、維持、管理、発展させ、次代につなぐ業務です。この業務は、主として法務部門長が担うことが多いと思われますが、法務部の多くの業務はこの視点を多かれ少なかれ意識して行われるべきですから、部門長以外のメンバーも程度の差こそあれ、関与していることになります。
例えば、次のようなものです。
・法務部門の立上げ、法務に関連する業務フローの整備と継続的な改善
・法務部門のリーダーとして、会社の目標・計画に沿ったPDCAの遂行
・社内・社外との意思の疎通・連携の強化と部門のプレゼンスの向上
・法務人材のアサイン・登用、採用、育成
・必要な事業費予算の確保と効果的な配分
これらは部門を運営するための土台のようなものです。土台がしっかりしていなければ、よい仕事はできないと思っています。足場がグラグラしているところにテーブルを広げてまな板をのせ、懸命に包丁をふるってもなかなか良い料理はできませんし、仮に一度や二度美味しく仕上がったとしても、安定的に同じクオリティの仕事ができるものか疑問です。
会社のマネジメントや他部門から信頼され、よい仕事を続けるためには、まず、この土台部分をしっかりさせるべきです。
どうしたらよいかお悩みであれば、ぜひご相談ください。
私は5業種6社で20年にわたって法務業務を経験しました。そのうち11年余りは部門長・組織長として業務に取り組んできました。
成功体験もあれば、悩みも失敗も色々とありました。
このような豊富な体験に基づいて、お悩みのあなたに少しでもお役にたてるよう、ノウハウやコツを提供します。
法務部のお仕事のサポート。実務のお手伝い
法務部のお仕事のもう一つは、まさに、企業法務にまつわる個別の業務を遂行することです。
第12次報告では、法務に関連する130の業務について、法務部門が主管しているか、主管していなくて関与はしているか、また、そもそもその業務は自社にはないのか、というような要素で回答を求めて、その結果をすべて公表しています。
「法務部門の主管・関与割合が高い事務と低い事務の全体傾向を把握するため、4種類の判定区分で分類した」とされています。
4種類とは次のとおりです。
・A判定 主管率が50%以上の事務
・B判定 A判定には該当しないが、主管率が他部門主管の率(関与率と非関与率の合計値)およびその他の率(「事務がない」と「無回答」の合計値)のそれぞれと比べて最も高い事務
・C判定 A判定およびB判定には該当しないが、関与率が50%以上の事務
・X判定 主管率が20%未満かつ関与率が30%未満で、非関与率が50%以上の事務
さらに、これら4種類には該当しないものの、法務部門がなんらかの役割を担いがちであると私が感じている業務を、便宜上「Z判定」としてリストアップし、個別に私の経験をご説明いたしました。
今回は、それらをまとめて、主管率と他部門主管の業務に関与している率の合計値が多い順に一覧表とし、私自身の経験の様子をまとめました。AからC判定およびZ判定のすべての業務を対象としました。X判定業務については、私が比較的多く経験した2業務だけを一覧表に加えました。その結果、130業務のうち56業務がリストアップされました。
一覧表の上位には、やはりA判定およびB判定が並ぶことになりました。上位の業務のカテゴリーは次のようになりました。
・契約関係(国内)
・法律相談関係(国内)
・訴訟等管理関係(国内)
・グループ会社関係(国内・国外)
そして、私は一覧表の上位を中心に、掲載された多く業務について、実務を担った経験があります。
詳しくは次の資料をご参照ください。
PDF 【参考資料】 A~C判定およびその他の業務の一部を抜粋し、当事務所代表者の経験の状況を表示したもの(合計順)
(特に経験の多い業務とほとんど経験のない業務がわかるようにマークいたしました)
法務部門の業務の特徴は、守備範囲が極めて広いことだと思っています。日々、このような多岐にわたるお仕事に取り組んでいれば、時間に追われることも多いでしょう。
「ここはサポートが欲しいなあ」「誰かに頼めないかなあ」と思うこともよくあるのではないかと思います。
そのような場合、多くは顧問弁護士等にご相談するのでしょうが、もう一つの選択肢として、当事務所の「実務サポートコース」もご検討ください。
法務部門での豊富な経験と国家資格である行政書士としてのライセンスに基づいて、法律上認められている範囲で、法務部門の実務の一部をお手伝いいたします。
不正の調査・対策
実務のお手伝いの一環とも言えますが、ご支援にあたっての取組み方や、根拠となるライセンスが異なることもあり、あえて別のコースとしております。
企業内で生じた不正に対して調査とその後の対策について支援いたします。
詳細は前号をご参照いただけますと幸いです。
トータルサポート
法務部門の業務が多岐にわたることは、既に何度も述べてきたとおりです。
なかには、「全部まとめてマルっとサポートしてほしい」というお客様もいらっしゃいます。
そのようなニーズにお応えして、「企業法務支援/アドバイザリーコース」、「企業法務支援/実務サポートコース」、「不正調査・対策」をすべてお引き受けする「トータルサポート」もご用意しています。
以上をもって、これまでの連載のまとめとさせていただきます。
少しでも、貴社の法務部の、そして法務部で働くあなたの、助けになることがあれば大変嬉しく思います。
ぜひ、お気軽にお問合せください。
※連載内容(これまでの投稿)
1)第12次報告の概要とA判定業務(「法務部門が主管する企業が多い業務」―11種類の事務)
2)B判定業務(「多くの法務部門がA判定ほどではないが主管・関与することが多いと回答した業務」―7種類の事務)
3)C判定業務(「他に主管する部門があるが、法務部門が関与している事務」―18種類の事務)
4)X判定業務(「法務部門があまり主管・関与しない事務」―14種類の事務)
5)これまでに取り上げられなかった事務(5分野18種類)
6)経営法友会の分析報告の項目になかったこと。企業法務支援/アドバイザリーコース
7)企業法務支援/アドバイザリー・コース(再掲)と実務サポートコース
8)企業不正と行政書士
【引用】
米田憲市編、経営法友会法務部門実態調査検討委員会著 『会社法務部 [第12次] 実態調査の分析報告』 p.322/第Ⅴ章 法律事務の分担状況 2 回答全体における法務部門の主管・関与割合 (1)主管・回答割合の判定区分、p.379~382/第Ⅴ章 4 法務関連事務の部門間での分担状況についての集計結果と分析 図表V-13 全130事務についての回答結果
(株式会社商事法務、2022年3月1日 初版第1刷 発行)
(代表 長谷川真哉)
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