様々な企業法務の業務~当事務所のお取扱い範囲⑥

業務内容のご紹介

経営法友会の分析報告の項目になかったこと

前回までの記事で、経営法友会が発表している「会社法務部 [第12次] 実態調査の分析報告(以下、第12次報告といいます)」を引用し、そこで取り上げられた項目に対して当事務所がお取り扱いできるか否かをお伝えしてまいりました。

実は、第12次報告において法務部門が130種類の業務にどのくらい関与しているかという調査にはある前提があります。それは、この設問は「法務部門があるとする企業」が回答対象とされていることです。つまり、法務部門がない企業の状況は反映されていないものと理解しました。

法務部門のない企業はどうしているのか

法務部門のない企業には、法務関連業務はないのでしょうか。そんなことはないはずです。その場合、大まかにいえば、①(法務部門ではない)各部門に任せている、②特定の業務については、管理部門のどこかが担っている、③①と②の併用という対応をしていることが予想されます。

例えば、①であれば契約書ひながたの準備・契約書のチェックなどは各部門が行う。法律的な判断が必要になれば各部門が直接顧問弁護士に相談する、②役員変更登記は総務部が、債権回収は経理部が独力で対処するか、またはそれぞれが適切な士業に依頼する、一定金額以上の契約の締結には経理部長の承認が必要、などの業務フローが思い当たります。

そして、そのような対応では限界があると感じた企業が、法務機能の集約による効率化と専門的な対応力の向上を図るために法務部門(部・課)を独立させるなり、その手前の段階として専任または兼任の担当者を設けるという流れが、よくある構図として考えられます。

ちなみに、私自身もある会社で兼任担当者→専任担当者→課として独立、という流れを経験したことがあります。

当事務所の得意分野

企業法務と聞けば、日々の契約書のチェックとか法的な相談事の対処などを思い浮かべることが多いかと思います。実際に第12次報告では、この2つは法務部が主管する業務のトップ3に含まれています(残る1つは「弁護士管理」です)。

よくわかります。しかし、当事務所はそのような個別の業務だけに目を向けるのではなく、その前後の流れを含めた全体のサポートを得意としています。具体的には次のようなものです。

(1)法務部門の立上げ、業務フローの整備

(2)整備が不十分な法務部門の機能と業務の整理・改善

(3)法務部門のリーダーとして、会社の目標・計画に沿ったPDCAの実行

(4)法務人材のアサイン・登用、採用、育成

(5)コンプライアンスに関する体制、例えば全社横断組織(コンプライアンス委員会)の立上げと効果的な運営

(6)法務・コンプライアンスに関する社内の教育・研修および交流の促進

(7)契約書ひながた集の整備、締結した契約書の電子化・一元管理

(8)会社規程の整備。例えば、規程相互の不整合、アップデート対応の不足、責任部門の混乱などの全体調整とそれに伴う制定・改廃

これらを見直すことによって、業務の目標が明確になり、円滑なフローになり、ひいては日々の定例的な業務の成果がより良くなることが期待できます。結果的に業務の効率化にもつながり、さらには昨今の働き方改革の流れにも沿う可能性があります。

法務部門の立上げのときも、立ち上がった後も、その場面に応じて継続的に支援いたします。

このような得意分野を、当事務所では次のようなサービスとして提供しています。

★企業法務支援/アドバイザリーコース

法務部門は業務を執行していないのか

ちょっと挑発的な見出しかもしれません。組織論的な視点では、法務部門は管理部門である、コストセンターであるなど色々な言い方ができると思います。

それはそれとして、会社の中の一つの部門であり、会社機能の一部を担っているというのは間違いのない事実だと思います。

なぜあえてこのようなことを申し上げたのかと言えば、第12次報告の中に次のような設問があり、その回答に驚いたからです。

それは、法務部門の目標設定についての設問でした(問36)。法務部門の目標や方針について次のような回答でした。

「目標管理の方法

①定量的な目標設定をしている   2.6%

②定性的な目標設定をしている    56.7%

③定量的目標、定性的目標の両者を併用している  25.5%

④その他  0.7%

⑤目標管理をしていない  14.7%」

※①~⑤の付番は当事務所が行いました。

「⑤目標管理をしていない」企業が全体の6分の1に近いことにまず驚きましたが、次に②③の「定性的目標」を設定している会社に対する次の項目の回答に目を引かれました(問36-2)。

「定性的目標の具体的な目標設定(選択肢別の集計)

a) 毎年組織目標を設定  68.0%

b) 担当者ごとに目標や課題を設定  64.5%

c) 中期経営計画や経営戦略とリンクした組織目標を設定  57.3%

d) 人事考課システムとリンクした目標を設定  42.3%

e) その他  0.5%」

※a)~e)の付番は当事務所が行いました。

いかがでしょうか。

目標のない組織が、どのように業務を遂行し、どのように結果を判断され、そして次の改善につなげるのでしょう。また、実務に携わっている部門長やメンバーは適切に評価されるのでしょうか。

企業の法務部門のうち3分の1が組織目標を設定しておらず、半分近くが中期経営計画や戦略目標との関係があやふやという状態で、いったい何に向かって日々の仕事をしているのでしょうか。

「いやいや、法務は営業のように、そのような計画とか評価に馴染む仕事ではないよ」という声が聞こえてきそうですが、果たしてそうなのでしょうか。

会社の方針や目標を常に意識し、部門目標の達成に向けて日々力を尽くすことで、社内からの信頼を勝ち得、法務という機能と法務部門のプレゼンスを向上させ、その結果としてここぞという場面で重要な提案に耳を傾けてもらえる。法務のメンバーの評価も上がる。メンバーが意欲的に仕事に励むことで、より社内からの信頼が集まる。このようなポジティブなスパイラルが成立するように働きかけるのは、法務部門長の責任ともいえるでしょう。

そのためにも、近視眼的に目の前の仕事に忙殺されるのではなく(そうせざるを得ない気持ちは痛いほどわかりますが)、一歩引いて、会社に貢献するためにはどのような法務であるべきか、そこに近づけるためにはどのようにアプローチすべきかということ考えるのはとても大切だと思います。
そして、よろしければ法務経験20年の私共にも協力させていただけませんか。

ぜひ、お気軽にお問合せください。

次回予告

アドバイスの有用性はよくわかるのだが、まずはとにかく目の前の仕事をこなさなければならない。そのために実務の一部を手伝ってほしい、とお考えの法務部門長もいらっしゃることと思います。

そのようなニーズに備えた、次のサービスをご紹介いたします。

★企業法務支援/実務サポートコース

※これまでの投稿については、以下ご参照ください。

1)第12次報告の概要とA判定業務(「法務部門が主管する企業が多い業務」―11種類の事務)

「様々な企業法務の業務~当事務所のお取扱い範囲①」

2)B判定業務(「多くの法務部門がA判定ほどではないが主管・関与することが多いと回答した業務」―7種類の事務)

「様々な企業法務の業務~当事務所のお取扱い範囲②」

3)C判定業務(「他に主管する部門があるが、法務部門が関与している事務」―18種類の事務)

「様々な企業法務の業務~当事務所のお取扱い範囲③」

4)X判定業務(「法務部門があまり主管・関与しない事務」―14種類の事務)

「様々な企業法務の業務~当事務所のお取扱い範囲④」

5)これまでに取り上げられなかった事務(5分野18種類)

「様々な企業法務の業務~当事務所のお取扱い範囲⑤」

【引用】

米田憲市編、経営法友会法務部門実態調査検討委員会著 『会社法務部 [第12次] 実態調査の分析報告』 p.317/第Ⅴ章 法律事務の分担状況  1⃣はじめに(問76)、p.133~138/第Ⅲ章 法務組織の管理・運営  1⃣目標・費用管理 (1)目標管理の方法(問36)。(株式会社商事法務、2022年3月1日 初版第1刷 発行)

(代表 長谷川真哉)

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